【仕事をするすべての人に刺さるアニメ】アニメ『SHIROBAKO』感想

アニメ感想




私がこのアニメを観たのは、転職して一年目のある夜でした。


残業を終えて夜10時ごろに帰宅し、ふとつけたTOKYO MXの再放送。お風呂上がりのぼんやりした頭で、なんとなく観始めました。


ちょうど20話前後のあたりで、物語も折り返し地点を過ぎたころ。


超・中途半端なところから観たのに、気づけば画面に釘付けになっていました。


当時の私は、同じ業界内で転職したばかりでした。


前の職場では深夜2時帰宅が当たり前だったので、それに比べれば多少は早く帰れるようになりましたが、それでも0時近くになることも多く、仕事の大変さは変わりませんでした。


「この選択で本当に良かったのだろうか?」


そう思いながら働く日々。


結婚したばかりなのに、夫婦の時間もほとんど取れず、私生活を大事にするべきか、それともこのまま仕事を続けるべきか、悩んでいました。


そんなときに出会ったのが「SHIROBAKO」です。
このアニメを観て、私は何を感じたのか——。


感想をまとめていこうと思います。


『SHIROBAKO』概要


放送時期: 2014年10月~2015年3月

話数: 全24話

制作会社: P.A.WORKS

ジャンル: お仕事アニメ / アニメ業界ドラマ

あらすじ


主人公・宮森あおいは、高校時代に仲間と一緒に自主制作アニメを作り、「いつか5人で本物のアニメを作ろう」と夢を語り合いました。


それから数年後、あおいはアニメ制作会社「武蔵野アニメーション」に就職し、制作進行として日々奮闘しています。


しかし、アニメ業界はトラブル続き。納期との戦い、予算の厳しさ、突然の仕様変更、スタッフの離脱、そして理想と現実のギャップ……。


それでも、仲間たちと協力しながら作品を完成させようと奮闘していきます。




一方、高校時代の仲間たちもそれぞれの道を歩んでおり、声優・アニメーター・3DCG・脚本家として成長しようと努力を続けていました。



夢を追い続ける難しさと楽しさを描いた、すべての働く人に刺さるリアルなお仕事アニメです。


感想

人間関係がとてもリアル


登場人物同士の相性や関係性が丁寧に描かれていると感じました。



たとえば、アニメーターの遠藤さんと瀬川さんの関係性が印象的です。


遠藤さんは感覚を大事にし、勢いや外連味のある絵を描くタイプ。

一方の瀬川さんは、理論を重視し、理路整然とした考え方で物事を進めるタイプです。



どちらも一流の腕を持ち、お互いに尊敬し合ってはいるものの、時には意見が衝突し、やりづらさを感じる場面もあります。



こうした「合う・合わない」が生じるのは、どの職場でもあることで、とてもリアルだと感じました。

いい加減な制作進行・太郎の存在


武蔵野アニメーションには、仕事にいい加減な制作進行の太郎がいます。



彼は責任を持たずに丸投げすることが多く、周囲に迷惑をかけることもしばしば。


しかし、底抜けに明るく、失敗しても後に引きずらない性格です。



こういうタイプは実際の職場にもいて、迷惑に思うこともありますが、会社には必要な存在なのだと改めて感じました。


人が辞めていく現実のリアルさ


「SHIROBAKO」では、さまざまな理由で会社を辞めたり、一時的に離れたりする人が描かれています。



これは、当時の自分にとっても非常にリアルでした。私が働いていた業界も従業員の入れ替わりが激しく、たくさん同じような経験をしたからです。


たとえば、制作進行として優秀だった落合さんは、昔の先輩に引き抜かれて別の会社へ転職します。


また、同じく制作進行の矢野さんは、お父さんの体調不良のため、一時的に休職することになります。


さらに、制作進行デスクの本田さんは、ケーキ屋を開くという夢のために退職してしまいます。


その結果、経験豊富な人材が一気に抜けることになり、残された宮森にデスクの仕事が降りかかります。



これは、私自身が経験の浅い状態で、職場の中堅メンバーが次々と辞めてしまい、大変な思いをした状況と重なり、強く共感しました。


当時、一番共感した平岡くん


平岡くんには、当時の自分と重なる部分が多く、とても共感しました。


彼は一生懸命仕事をしているのに、周りの環境や特に人間関係に恵まれず、最終的には自分がすべての責任を背負うような状況になってしまっていました。



努力しているのに、思うようにいかず、空回りしてしまう——。それを自分でもわかっているからこそ、余計につらくなる。


そんな彼の姿が、当時の自分と重なり、胸が痛くなったのを覚えています。


新たに武蔵野アニメーションに就職してからの、ふてくされた態度は良くないと感じましたが、もともとは熱意や夢を持ってアニメ業界に入ったはずです。


それがほとんど砕けてしまうほどには、過去の職場で傷ついてきたのだと思うと、簡単に否定できませんでした。




それでも、アニメの仕事にしがみついている。彼なりに踏ん張っている。


当時の私は、今の仕事を続けるべきか、それとも辞めるべきか、ずっと悩んでいました。


結局、家族を優先することを選び、仕事を辞め、もといた業界に戻ることもないと思います。



でも、決していい加減(悪い意味でのいい加減です)に仕事をしていたわけではなく、ブラックで過酷な環境の中でも頑張っていました。



だからこそ、本当は続けたかった気持ちもあり、平岡くんの姿には強く共感しました。

最近になって共感した矢野さん


最近、久しぶりに「SHIROBAKO」を見返して、改めて矢野さんに共感するようになりました。



私の父も大病を患ったことがあるので、彼女の気持ちを考えると、すごく胸が締めつけられます。



しかも、矢野さんは父子家庭かつ一人っ子で育ったので、お父さんはたった一人の大切な家族です。



つらい気持ちや不安な思いを共有できる身近な兄弟姉妹もいなくて、様々な思いを一人で抱え込んでいたのだと思います。

矢野さんは、お父さんが危ない状態になり、仕事を一時的に離れます。



病状が落ち着いたとはいえ、その後に復帰した彼女の気持ちを思うと、ほっとする反面、きっとまだお父さんのことが心配なのではないかと、こちらまで心配になってしまいました。



仕事を続けながらも、家族のことが常に心のどこかにある——。



当時はそこまで深く考えていませんでしたが、今なら矢野さんの気持ちがよくわかります。



放送から年数が経っても、見返してみると新たな発見や共感ができるのもSHIROBAKOの大きな魅力の一つだなぁと感じました。


関連作品


劇場版『SHIROBAKO』(2020年公開)

→TVアニメの数年後を描いた続編。武蔵野アニメーションが再び困難に立ち向かう!


P.A.WORKSの「お仕事シリーズ」

『白い砂のアクアトープ』(水族館業界)

『花咲くいろは』(旅館業界)

『サクラクエスト』(町おこし)





劇場版『SHIROBAKO』も観たので、いずれこのブログで感想を書いていきますね。



P.A.WORKSさんのお仕事シリーズ、『花咲くいろは』以外は未視聴なので、これから観てみようと思いますっ!



楽しみ~!


P.A.WORKSさんは人物の心情を丁寧に、でもこちらの想像の余地を残しつつ描写してくださるので、他作品を観るのも楽しみです。




『花咲くいろは』もとてもよかったので、また見返して感想を書ければと思います!



また、せっかくなので、『SHIROBAKO』の感想も一話ずつ書ければいいなぁと思うのですが、いかがでしょうか?



短めの文章ならいけそうなので、もう一周しつつ、書けそうだったら感想を書いていきますね。




最後までお読みいただきありがとうございました!




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